愛媛県の南部(南予地方)に位置する都市。南予地方の中心都市で、宇和島城を中心に発展した闘牛で有名な旧城下町でもある。平成30年7月豪雨災害により、土砂崩れや浸水などで多くの方が被災。吉田町は市内でもとりわけ被害が大きかった。
吉田町はもとから市民活動が盛んで、市民によるサロン活動が多く行われていたが、今回の災害により活動停止になり、地域での情報交換の場や支え合いの場が失われてしまった。サロンを再び市民自身の手で開催していけるよう、そのきっかけづくりとして職員が派遣された。
東京都・TVAC・アクションプラン推進会議の幹事団体では、こうした市民による活動が今こそ必要と考え、地域で取り組んでいけるよう10月~11月末までふれあい喫茶活動をおこなうことになった。
現在、ふれあい喫茶は吉田地区内5か所で実施。東京からは、アクションプラン推進会議に参加する、社会福祉協議会をはじめ、生活協同組合、ボランティアセンター、NPO、NGO、企業などが合同でチームを組んで、常時5人が喫茶活動を展開する。
宇和島・吉田町目指し、いざ出発。
午前中は前任チームとの引継ぎ業務。午後はふれあい喫茶の場所の視察。
被災から3ヵ月たっているので、いっけん、日常の生活が戻っているように見えたが、家屋の修理ができないまま住んでいる人がいるという実態に触れ「災害の爪痕の大きさ」をあらためて感じた。
豪雨時に氾濫した川。道路もその影響を受けている。
土砂崩れの様子。斜面のすぐ横にはみかん畑。
午前中は新しい喫茶候補地を視察。
午後は、いよいよホットケーキデビュー戦。沖村のコミュニティセンターに向かい、まずは草刈や掃除をする。集まってくれた住民の皆さんとおしゃべりをしながらホットケーキに舌鼓。参加者は25名。思っていたよりうまく焼けた。楽しく話しができたので良かった。
ふれあい喫茶実施に向け準備中。
本日のサロン活動は御殿内集会所。被災して以来の会場の使用なので、掃除からスタート。調理場の魚焼きグリルを開けたところ、泥水が流失。衛生面を考え、2階でカセットコンロを使うことになった。集会所の目の前が川で氾濫したとのこと。思いがけないところに被災の爪痕が残っている。「長く生きてきたけれど、こんな災害にあったことは無かった」と涙ぐむお婆さんの姿が心に残った。参加者は23名。
このサロンをきっかけに被災以降久しぶりに再会した方も多くいた。
新しく派遣されるチームの受入れ。午後は新チームと一緒にサロンの実施場所を視察しながら、翌日のサロンのチラシ配りをおこなう。どこへ行っても「お礼に」といってみかんをもらう。
河内の公民館隣の個人宅倉庫で準備。鉄板が手に入ったのでそれで焼いたら「前回よりもおいしかった」と褒められる。参加者は23名。
この日は使用できなくなった集会所の横の個人宅倉庫にて実施。
玉津公民館でサロン活動。ここはお母さんと子供がたくさん来てくれた。地域住民のボランティアさんも参加してくれていた。「サロンが気軽に集まれる場になっているなぁ」と実感。参加者は21名。
夜はサロン会議と牛鬼会議に参加。行政や社協、支援団体を交え、今後の活動について話し合う。
サロン開催時は、のぼりとポスターで地域に周知。
最終日。吉田公民館にてサロンを開催。参加者61名。土曜日ということもあり小学生も来てくれた。事故なく7日間を終えたことに安堵し、さまざまな想いを抱きながら帰途につく。
宇和島市社協をはじめ、地域のみなさんと共に活動してきました!
「今回の豪雨で、まさか自分が被災者になるなんて」
これは私が参加したふれあい喫茶でお話した参加者の女性からの発言です。
この女性は自分が被災するまで“災害”はどこか他人事のように感じていたと話します。しかし自身が被災してからは、「たとえ外国で起こった災害であったとしても、その国の人を想い、心配するようになった」と、被災する前後の心境の変化について語ってくれました。
日頃生活している地域で災害が起きるということをイメージするのは難しいことなのかもしれません。しかし、私自身も、その女性や吉田町の皆さんのお話しを聴いて、“災害”は決して他人事ではなく、自分にも降りかかってくるものであるということを実感するとともに、平時からの災害への備えが大切であるということに改めて気付かされました。このような気付きや、今回の派遣の経験を活かして、今後の業務に取り組んでいきたいと思います。
今回のプログラムで初めて愛媛を訪れましたが、地域の方々、宇和島市社会福祉協議会の皆さんは本当にあたたかい方ばかりでした。また活力に溢れた方にも、たくさん出会うことができました。そんな素敵な皆さんが一日でも早く、これまでのような生活が取り戻せるように、支援を続けていきたいと思います。