愛媛県の南部(南予地方)に位置する都市。南予地方の中心都市で、宇和島城を中心に発展した闘牛で有名な旧城下町でもある。平成30年7月豪雨災害により、土砂崩れや浸水などで多くの方が被災。吉田町は市内でもとりわけ被害が大きかった。
吉田町はもとから市民活動が盛んで、市民によるサロン活動が多く行われていたが、今回の災害により活動停止になり、地域での情報交換の場や支え合いの場が失われてしまった。サロンを再び市民自身の手で開催していけるよう、そのきっかけづくりとして職員が派遣された。
第1弾でもお伝えした、東京都・TVAC・アクションプラン推進会議による愛媛コミュニティ支援プログラムに、台東社協の職員が再び参加しました。ふれあい喫茶は吉田地区内8か所に増えていました。新設のサロンを忙しく駆け回りながら、各地区の様子をうかがってきました。
宇和島・吉田町目指し、朝一番の飛行機で出発。
午前中は前任チームとの引継ぎ業務。午後は物品の買い出しとサロン開催地の視察。バタバタと慌ただしく動きながら「いよいよこれから始まる」と身が引き締まる思いがした。
周囲の山々は至るところで、土砂崩れの形跡が見られた。
午前中は深浦公民館へ。今日が初のサロン開催だったが、23名もの方が集まってくれた。杖をつきながら30分もかけて歩いてきた方もいた。皆さんが「家にばかりいるから、こういうところがあると嬉しい」とニコニコと言ってくださり感激した。
午後は10月から開催している白浦コミュニティセンターへ。参加者は26名。チラシを見て「地域と繋がりたい」と訪れる若いボランティアの方もいた。
サロン間は基本的に車移動。地図を必死に覚える。
本日のサロン活動は初の開催地である立間公民館。最初は3名しか集まらず「どうしよう…」と不安な幕開けだったが、目の前の小学校から小学生のボランティアが集まり、大きな声で校歌を歌ってくれたのが印象的だった。参加者は「次回は友達を誘ってくるね」と喜んでくれていた。
午後は6回目の開催である玉津公民館へ。「毎週楽しみにしている」という方も多く、地域にサロンが定着している感じを強く持った。参加者の話に耳を傾けていると、同じ地域でも被害の差が大きいことがわかり、厳しい現実を目の当たりにした。
午前中はチラシ配りと新設サロン周辺の地図作りをおこなう。午後は初の開催地である南君西公民館へ。もともとサロンを開催していたところで、今回の復活を心待ちにしてくれていた。参加者は36名。吉田高校から12名ものボランティアが来てくれた。高校生は今回のプログラムに関心を持って積極的に関わろうとしていた。
吉田高校の生徒さんがボランティアとして参加してくれた。
次のチームとの引継ぎの日で、2人のメンバーを迎え入れる。午前は物品の整理。午後はチラシ配りと9か所のサロンを視察した。その後、振り返りと今後の検討をおこなう。
ホテルに戻り、次回のチラシまきの計画を練る。
船間公民館でサロン活動。高齢者がほとんどだったが、仲間意識が強く良い雰囲気のサロンだった。日頃からシルバーカーを押して、皆で散歩しているとのこと。「話を聞いてくれる場所があるのは嬉しい」と話していた。
午後は大河内下集会所のサロンで参加者は18名。ハンドベルの団体やコーヒーボランティア、衣類提供ボランティアなど多彩な顔ぶれだった。
ハンドベルの音色に耳を傾ける。
最終日。御殿内にてサロンを開催。参加者18名。昨日のコーヒーボランティアが来てくれた。午後は立間地区のチラシ配りをおこなう。前回同様、どこへ行っても「みかん持ってけ」と大量のみかんをいただいた。人々の想いと新しい出会いに感謝しながら帰途につく。
さまざまな方と協力し合いながら、7日間のコミュニティ支援を全うすることができました!
派遣前は、東京から来た私たちのことを受入れてくださるだろうか、サロンにどのくらいの人が来てくださるだろうかと不安な気持ちもありましたが、どのサロンも想像以上の参加があり、「こういう場があると助かる」「楽しみで30分もかけて歩いてきた」など、みなさんサロンを楽しみにしてくださり、あたたかく受け入れてくださいました。また、今回のプログラムにあたり、宇和島市社協のみなさんを始め、サロン運営にボランティアとして入ってくださった地域のみなさん、物資を提供してくださった支援団体さんなど様々な方から支援やアイデアをいただきながら協力して活動できたことは、サロン担当者である私にとってかけがえのない経験となりました。
今回のコミュニティ支援プログラムを通して、改めてサロンの重要性に気づくことができました。社協職員として今後のサロン事業に活かしていきたいと思います。
被害に遭われた方が不安のない元の生活に戻るには、まだ時間がかかるでしょう。今回宇和島で見てきたこと、感じてきたことを多くの方に伝え、災害を風化させずに長く支援を行っていけたらと思います。